企業会計原則の概要,制定の時代背景。簡潔に説明します。

企業会計原則は歴史が古く、黒澤 清教授を中心に、企業会計原則は作られました。

財務諸表を作る場合は、社会的な規範に基づいて作成する必要があります。この社会的な規範とは、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準その他の会計慣行です。この社会的規範の中には、企業会計原則や企業会計審議会、企業会計基準委員会が作った各種の企業会計基準があります。

以下、企業会計原則。真実性の原則。簡潔に説明します。

企業会計原則の概要,制定の時代背景。終戦直後、日本の会計制度の基準の統一化は急務であった。

日本工業規格(JIS)Japanese Industrial Standardsが制定される前は、太平洋戦争中に使用された旧陸海軍の戦闘機などのパーツやネジも、微妙にサイズが異なることがありました。したがって、日本の各工業製品の規格はマチマチなことが多々ありました。

このため、例えば、北海道の工場で作ったパーツも、問題なく東京の工場で使用できることを目的として、1949年(昭和24年)10月に日本工業規格(JIS)Japanese Industrial Standardsが制定されました。

また、企業会計の分野でも、日本の会計制度の基準の統一化は急務でした。あらゆる分野でアメリカに劣っていた日本は、企業会計原則の制定に迫られました。

日本工業規格JISの制定は、工業製品の規格の統一化が目標に掲げられていましたが、会計制度の改善は、外資導入や企業金融の合理化、投資者の保護、企業課税の適正化等が主な目標として、掲げられました。

この会計制度の刷新は、全く新たな目標でしたので、多くの関係者の尽力が必要でした。そして1949年(昭和24年)7月9日に制定されました。

例えば、下記の研究報告に、当時の芦田均総理自らが、企業会計制度の刷新を希望していることが記載されています。

「建議書」は,上野らによって即日,芦田均総理に手渡された。芦田はこれを受理し,昭和23年6月29日,「企業会計制度対策調査会設置に関する件」として閣議決定した。「一 我が国の企業会計制度は欧米のそれに比して著しく立ちおくれているため企業の経理状態及び経営成績を正確に把握することが困難であり,企業の経営統計を作ることを妨げている実情である。外資導入の前提となる経済健全化のため,科学的基礎を確立するためには勿論,企業金融の合理化,投資者の保護,企業課税の適正化等のためにも我が国の企業会計制度は早急に改善されなければならない。よって透かに企業会計改善のため必要な組織を設定し,経験を総合結集し企業会計の近代化を図ると共にその前提となる会計教育の根本刷新を行い,日本経済の健全化のための科学的基礎を確立することが必要である。以下、略」

この時に、「法制化」するか「原則」にするか、紆余曲折があったのですが、最終的に、「法」ではない、法より若干ゆるやかな「原則」が誕生します。

企業会計原則の概要,制定の時代背景。SHM会計原則が影響を与えました。

日本で作ることになった、企業会計原則に影響を与えたのは、SHM会計原則です。SHMとは、サンダース、ハットフィールド、ムーアの3人の教授の名前の頭文字を取っています。

SHM会計原則は、1938年にアメリカ会計士協会の依頼によって公表された『会計原則に関するステートメント』の通称をいいます。

この原則は、一般原則、損益計算書原則、貸借対照表原則、連結財務諸表原則の4部から形成されています。

このSHM会計原則の考えが、日本の企業会計原則の誕生に大きな影響を与えました。

日本の企業会計原則は、1949年(昭和24年)7月9日に制定されていますから、さかのぼること、約10年前にアメリカでは、企業会計原則(SHM会計原則)が制定されていたことになります。

企業会計原則の概要,構成。簡潔に説明します。

企業会計原則の構成

企業会計原則は、一般原則、損益計算書原則、貸借対照表原則、そして注解の4つの部分から構成されています。

一般原則は、財務諸表を作るうえで、包括的、かつ、基本的な原則となります。最もベーシックな考え方です。
なお、損益計算書原則、貸借対照表原則がそれぞれ規定され、また、これらを補足するために注解が規定されいます。

一般原則 損益計算書原則 貸借対照表原則
真実性の原則 処理面 処理面
正規の簿記の原則 発生主義の原則 完全性の原則
資本・利益区別の原則 実現主義の原則 原価主義の原則
明瞭性の原則 費用収益対応の原則等 費用配分の原則等
継続性の原則 表示面 表示面
保守主義の原則 区分表示の原則 区分表示の原則
単一性の原則 総額主義の原則等 総額主義の原則等