企業会計原則と制度会計の関係を簡潔に説明します。

「企業会計原則」は、「一般原則」、「損益計算書原則」、「貸借対照表原則」、そして「注解」から構成されています。

これらの原則は、基本的なルールを文書化したものです。また、時代の変遷に伴って「企業会計原則」だけでは、会計の事象を説明しきれなくなったため、時代の進捗に伴って、様々な「企業会計基準」が規定されています。

企業会計原則が「会計の憲法」だとすると、各種の「企業会計基準」は、民法や会社法などに相当する法律の位置づけになります。

企業会計原則や会計基準は、法律ではありません。ただし、金融商品取引法、また、会社法(第431条)では、「株式会社の会計は、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うものとする。」と規定されています。そして、「一般に公正妥当な企業会計の慣行」にあたるのが、企業会計原則や会計基準であると考えられています。

上記から、法規定に明文化されていなくても、会社法や金融商品取引法に包含されているのだから、事実上、法体系の中に組み込まれているとも言えます。

また、上記のルールとは別に、ガチガチの法律によって、財務諸表の作成のルールが決められているケースがあります。

これを「制度会計」と言います。「制度会計」には、会社法会計、金融商品取引法会計、税務会計の3つがあります。

企業会計原則と制度会計の関係を簡潔に説明します。日本を含む海外の主な会計基準を簡潔に説明します

日本

企業会計原則や様々な会計基準が存在します。

アメリカ

アメリカには、「米国会計基準」があります。これは、アメリカで採用されている会計基準です。米国財務会計基準審議会(FASB)が中心となっています。アメリカで上場している日本企業は、米国会計基準に基づいて財務諸表を作成しなければなりません。

国際会計基準

IFRS(国際会計基準)
「IFRS」とは、International Financial Reporting Standardsの略で、国際会計基準を意味します。国際会計基準審議会が作成した会計基準で、EU域内の上場企業に対して2005年に導入が義務化されています。

企業会計原則と制度会計の関係を簡潔に説明します。会計基準は資金調達のモノサシを標準化する役目を持っています。

日本の企業会計原則の制定の項目でも記載しましたが、現在の、企業会計原則また企業会計基準のもつ役目は投資者保護です。投資者保護は、なぜ、投資者保護をするのかというと、シッカリした会計報告を行わないと、投資者が企業(会社)に対して、資金を投下してくれないのです。

このため、世界最大の資金(お金)調達市場であるアメリカに上場して、アメリカ国内から資金を調達するためには、アメリカ独自の会計基準に則って財務諸表を作成する必要があります。

また、ヨーロッパ市場も同じで、IFRS(国際会計基準)を作り、域内から調達する資金の標準化を図るべく、基準作成が行われました。

基本的にはアングロサクソン系の会計基準が採用されていますが、アメリカの会計基準のパワーは凄まじいです。

メートルやセンチメートルが世界基準になっても、相変わらず、フィートやインチ、ノット(飛行機や船の速度)。そしてバレル。などの単位が主流になっている分野があります。

また、相変わらず、ベースボール(野球)やアイスホッケー、バスケットボール等、アメリカ国内だけで観客動員数や興行収入などが完結してしまう分野があります。

アメリカは世界一富める国です。世界的な企業のグーグルやアマゾン、アップル、フェイスブック、マイクロソフト社などがあり、国内からは原油が取れ、肉や穀物は世界中に輸出し、圧倒的な軍事力、そしてドルという基軸通貨の地位を有しているためです。

日本の会計基準はさておき、アメリカの国力が衰えない限りは、まだまだ、会計基準の世界統一基準は、ハードルが高いです。

企業会計原則,各企業会計基準の中で、税務会計は大きく異なっています。

財務諸表は、企業会計原則のほかに、様々な企業会計基準を依拠として作成されます。この企業会計原則やな企業会計基準をベース賭するものとは別に、法律によって「制度」の中で、財務諸表の作成のルールが決められているものがあります。

これを「制度会計」と言います。
制度会計には、下記の3つがあります。

会社法会計では、利害関係者の利害調整を行います。
金融商品取引法会計では、投資者への情報提供を行います。
税務会計では、課税の公平性を目的として、作成します。

会社法会計と、金融商品取引法会計は、概要は似ているのですが、税務会計は大きく異なっています。