会計公準3つ。企業実体,継続企業,貨幣的評価。簡潔に説明します

会計公準とは、企業会計が行われるための最も基本的(基礎的)な前提を示しているものです。また、会計に関するすべての原則は会計公準なしでは成立しえません。

簡単に言うならば、会計公準の3つがないと、会計が成立しないという意味です。

さらに言うならば、この会計基準が企業会計原則などに影響を及ぼし、また、企業会計原則などは諸会計手続きなどに影響を及ぼしていることになります。

なお、この会計公準は、企業会計原則や手続き等の一連のフローと、首尾一貫しており、そういう意味で、会計の基礎的前提と言えます。

上記について、簡潔に説明します。

会計公準3つ。企業実体の公準

実体と実態がありますが、実体は「ボディ」「個体」などを意味します。

実態は、「ものごとの様子」「ありさま」などの意味です。

したがって、企業実体の公準では、個人と会社を個体識別して分けるという意味です。「ものごとの様子」「ありさま」を個人と会社で分けるという意味ではありません。

例えば、フリーランスの場合は、パソコンや蛍光灯などに電気代を支払っていますが、これを、個人の分と、会社の分とに分類して帳簿を作成します。

ガスや水道料金。あるいは、図書を購入し研究した場合などは会社(企業)のための活動を行ったと考えます。

これを前提として考えると、収益や費用。資産や負債、あるいは資本など、自然人としては全く同じ人物ですが、個人と会社を分けることになります。

会計公準3つ。継続企業(会計期間)の公準

大手ゼネコンの竹中工務店は、江戸時代前期の1610年(慶長15年)に織田信長の元・家臣であった初代竹中藤兵衛正高が尾張国名古屋にて創業、神社仏閣の造営に携わりました。竹中工務店は約400年間継続している企業です。

また、トヨタ自動車は1933年9月に開設された自動車部がトヨタ自動車の起源です。約90年間継続している企業です。

例えば、継続企業を前提としない場合は、極論ですが、両企業とも当期に解散した場合を仮定して、決算書を作成したとします。

竹中工務店の場合は約400年に1回、トヨタ自動車の場合は約90年に1回しか決算書を作成しなかったことになります。こういう事態が実際に起きた場合は、これら企業の利害関係者は大変困ることになります。

実際は、両企業とも解散しないので、1年間という期間を区切って、1年間毎の決算書を作成します。

大航海時代などには1航海が完了すると、帳簿を全部閉め切って、儲け(利益)などを算定していましたが、現在は会計期間(1年間)を定めて、財務諸表を作成しています。

貨幣的評価(貨幣的測定)の公準

全ての企業活動は、お金(貨幣)の金額によって、評価また測定されるという公準です。

企業によっては、数万人という従業員が働いている職場もあります。また、多くの航空機を所有している企業もあります。さらには、多くの原油を所有している企業もあります。これらの企業を共通のモノサシ、共通の尺度を使用して、企業活動を評価・測定することが求められたため、日本国内では円(えん)で、評価・測定しています。

従業員の数でもなく、航空機の数でもなく、所有している原油のバレル(キロリットル)数でもない、貨幣の単位である円(えん)を用いて財務諸表を作ります。

また、世界中で活動している企業であっても、ドルやユーロを円(えん)に置き換えて、財務諸表を作ります。

1株当たり情報に関する注記では、○○円××銭などと実際には使用されていない貨幣単位が使用されていますが、これは例外です。

基本的には円(えん)で、表示します。

また、円の表記は、重要性の原則が使用されるケースが多いです。