損益計算書原則。損益計算書の本質を簡潔に説明します。

企業会計原則は、「一般原則」、「損益計算書原則」、「貸借対照表原則」、そして「注解」から構成されています。

先の「一般原則」については、記載が完了しましたので、これから、「損益計算書原則」を簡潔に説明します。

損益計算書原則が多用な項目がありますが、「損益計算書原則(一)の損益計算書の本質」及び「(一A)」「(一B)」「(一C)」と、「損益計算書の区分(二)」「(二A)」「(二B)」「(二C)」です。

以下、損益計算書の本質について記載します。

損益計算書は、企業の経営成績を明らかにするため、一会計期間に属するすべての収益とこれに対応するすべての費用とを記載して経常利益を表示し、これに特別損益に属する項目を加減して当期純利益を表示しなければならない。

この、原則は、前段と後段2つに分けて読みます。意味は2つに分けて読みます。

前段は、「損益計算書は、企業の経営成績を明らかにするため、一会計期間に属するすべての収益とこれに対応するすべての費用とを記載して経常利益を表示し」までで、後段は「これに特別損益に属する項目を加減して当期純利益を表示しなければならない。」です。

損益計算書原則。損益計算書の役目(機能)を簡潔に説明します。

損益計算書は、収益から費用を差し引いた金額を利益として表示する報告書であり、企業の一定期間における経営成績を明らかにするものです。

経営成績は、企業の経済活動の成果である収益と、成果を得るための努力である費用を一会計期間に対応させることで、明らかにすることができます。

このように、収益と、費用を対応させることを通じて、期間的な経営成績つまり期間業績を反映させる損益計算を適正な期間損益計算といいます。

損益を把握するのが「財産法と損益法」です。財産計算の「棚卸法と誘導法」とは、根本的に異なります。

この4つの項目は、似ているので間違いやすいのですが、根本的に異なっています。

財産計算を行うのが「棚卸法と誘導法」です。

正規の簿記の原則の項目でも触れましたが、企業が、実際にどれだけの財産を有しているのかを貨幣額で貸借対照表に表示するためには、企業が有している財産の数量を把握する必要があります。

この財産の数量を把握し貸借対照表に計上する金額を決定する場合に、帳簿から誘導する方法が「誘導法」です。また、実際に倉庫の棚卸を行う方法が「棚卸法」です。

損益を把握するのが「損益法と財産法」です。

損益を把握する計算方法は、損益法と財産法の2つがあります。損益法は、期間収益から期間費用を差し引くことにより損益計算を行う計算方式です。

財産法は、一定の会計期間の期末純資産額から期首純資産額を差し引くことにより損益計算を行う計算方式です。

計算方式は、下記のとおりです。

損益法 期間収益一期間費用=期間損益

財産法 期末純資産一期首純資産=期間損益

上記の、期末純資産、期首純資産を期末株主資本、期首株主資本等と表現する場合があります。資本の定義の仕方によって異なってきますが、結論は資本剰余金と利益剰余金の区別にあったように、利益剰余金と期間損益は一致することを表しています。

財産法
財産法の長所は、帳簿記録に残らない損益を把握できることです。

短所は、期間損益の原因を明らかにできないことです。

損益法
損益法の長所は、期間損益の原因を明らかにできることです。

短所は、帳簿記録に残らない損益を把握できないことです。

上記から、分かるように、それぞれ長所や短所はありますが、財産法や損益法は、互いに補い合って、期間損益を算定してきました。

また、財産法(資本取引による増減額を除きます。)の期間損益と、損益法の期間損益(利益)は必ず一致していました。

このことをクリーンサープラス関係と言います。

サープラス(surplus)とは、剰余金の意味です。クリーン(clean)とは何も混じっていない、または純粋な等を表示しています。このサープラスは損益計算書をとおして100%、財産法の算定する期間損益と全く同じ数字を算出していました。要するに、損益計算書の算定する期間損益には、何も混ざらず、財産法の算定する期間損益と等しくなったのです。この関係をクリーンサープラスと言います。

しかし、金融商品に関する会計基準(その他有価証券評価差額金)等が導入されてからは、財産法で算出した利益と、損益法で算出した利益は一致しなくなりました。

それは、損益計算書を経由せずに貸借対照表の純資産に計上されたことを原因としています。

このことを指して、「ダーティサープラス」という場合があります。

包括利益については、別項目で記事化します。下記に記載した包括主義とは、全く別のものです。

損益計算書原則。当期業績主義と包括主義を簡潔に説明します。

上記の前段「損益計算書は、企業の経営成績を明らかにするため、一会計期間に属するすべての収益とこれに対応するすべての費用とを記載して経常利益を表示し」は、当期業績主義を言い表しています。つまり経常利益です。

後段は「これに特別損益に属する項目を加減して当期純利益を表示しなければならない。」で、包括主義を言い表しています。

現在の日本では、区分表示を前提としつつ、包括主義損益計算書を作ることが要求されています。

これによって、当期業績主義による経常利益(正常な収益力)も、包括主義による当期純利益(分配可能利益)も表示されます。

損益計算書原則。当期業績主義を簡潔に説明します。

当期業績主義による利益とは、経常利益のことであり、かつ、正常な収益力になります。

また、収益と費用については、特別損益に属する項目(臨時的・偶発的な項目)を除きます。

例えば、火事で工場が焼失したとか、土地の売却益などは企業の正常な収益力(経常利益)には関係ないので、当期業績主義にはなりません。

損益計算書原則。包括主義を簡潔に説明します。

包括主義による利益とは、現在、普通に作成される損益計算書で、当期純利益のことであり、かつ、分配可能利益になります。

また、収益と費用については、特別損益(臨時的・偶発的な項目)を含みます。

火事で工場が焼失したとか、土地の売却益などは企業の分配可能利益(当期純利益)を構成します。したがって、包括主義を構成します。

経常利益のことをケイツネという場合があります。また当期純利益のことをボトムラインという場合があります。