企業会計は財務会計と管理会計の2つに区分。簡潔に説明します

企業会計の領域(エリア)は、作成した会計情報を企業外部に提供(報告)するか、または、企業の内部に提供(報告)するかによって、財務会計と管理会計に区分することができます。

以下、簡潔に説明します。

企業会計は報告先(内外)の違いにより2つに区分。企業外部に提供(報告)する場合は財務会計と言います。

財務会計は、企業の財務(総じては企業の財産や損益やキャッシュフロー)を、財務諸表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書)を用いて利害関係者に経営状態を報告するために作成されます。

一般的には企業などが企業外部の利害関係者に対し作成する決算書がこれに該当します。

企業の財務を説明するから、財務会計です。

ここでいうところの「財務」とは、広い意味での「(総じては企業の財産や損益やキャッシュフロー)」を言います。

また、財務会計の機能は大きく分けて2つに分類できます。

1.情報提供機能

財務諸表等によって、企業の経済活動に関する情報を、企業外部の利害関係者に対して提供(報告)するという機能を情報提供機能と言います。

2.利害調整機能

財務報告を財務諸表等によって行うことで、企業と利害関係者相互間の利害を調整するものを利害調整機能と言います。

例えば、企業のオーナーである株主には、配当金の支払い。債権者には利息や債務の支払い。経営者には役員報酬などが表示され、これらが表示されることによって、利害関係者の利害が調整されます。

また、上記2つの機能は、「受託会計責任」とも深い関連性を有します。

ただし、前提として「利益」が取得原価主義によって、利益は実現収益として裏打ちされたものでることが必要です。つまり、取得原価主義のもとで、上記の利害調整機能は、財務会計の機能として動作しますが、時価を採用した場合は、未実現収益が計上され、利害調整機能が稼働しない場合があります。

企業会計は報告先(内外)の違いにより2つに区分。企業内部に提供(報告)する場合は管理会計と言います。

企業の管理のために使用するから、管理会計です。

管理会計とは、企業が内部をコントロールするために作成するものです。

これらには、企業の内部をコントロールするための予算会計、または製品の原価を知るために作られる原価会計などがあります。

例えば、予算会計は総予算の10%減額したものを当初予算として配賦し、残りは補正予算で充当したりして内部をコントロールします。

原価会計では、原価はそのまま、取得原価になりますので、原価計算で計算された製造原価(取得原価)に利益率などを乗せれば、売価が決定します。

管理会計は、企業内部のコントロールのために使用されるものであって、財務会計のように外部に提供(報告)するためのものではありません。

企業内部のコントロールとは、主に企業の経営者が業績を上向きにするために行う統制方法です。

フリーランスの場合は、多くの場合は経営者とオーナーは同一ですが、企業会計上は、会社(企業)とオーナーは分けて考えます。したがって、財務会計(外部向け)と管理会計(内部向け)を分類します。

フリーランスの場合は、多くの場合は経営者とオーナーは同一ですが、事業主貸・事業主借という表現を使用して、個人用のお金と事業主のお金を分離しています。

要するに、フリーランスの場合は、実体は、個人と事業主が同一人物であっても、会計上は個人と事業主とを分けて考えます。

これは、会計公準の中の「企業実体の公準(オーナーと会社を分ける考え方)」と深いかかわりがあります。