企業会計原則の一般原則,保守・単一性の原則を簡潔に説明します。

財務諸表を作成する上で、大切な、一般原則について簡潔に説明します。

保守主義の原則(一般原則、六)

企業の財政に不利な影響を及ぼす可能性がある場合には、これに備えて適当に健全な会計処理をしなければならない。

単一性の原則 (一般原則、七)

株主総会提出のため、信用目的のため、租税目的のため等種々の目的のために異なる形式の財務諸表を作成する必要がある場合、それらの内容は、信頼しうる会計記録に基づいて作成されたものであって、政策の考慮のために事実の真実な表示をゆがめてはならない。

上記、2つの原則について、簡潔に説明します。

企業会計原則の一般原則,保守主義の原則を、大阪弁に例えて簡潔に説明します。

企業会計原則や企業会計基準は、1年間の期間損益計算を算定するために必要なルールです。したがって、この保守主義の原則も、儲け(利益)を算定するための基準に他なりません。

この、保守主義の原則を、儲け(利益)面で言うならば、下記の大阪弁の表現になります。そして、これこそが、保守主義の本質です。

「儲かりまっか?」、「ボチボチでんなあ」です。

標準語で言うならば、「仕事上手くいってますか?儲け(利益)は出ていますか?」という問いかけに対し、「まだまだ、全然です。これから頑張ります。」という大意になります。

しかし、上記の場合は、「ボチボチでんなあには、利益がドンドン出ている最中で、笑いが止まらない。」などの意味が含まれる場合があります。

このようにして、仕事や企業の操業が上手くいっているのに、外部に対しては、儲け(利益)を低く算定表示する場合があります。

誤解を招くといけないので、あえて書きますが、試験で「企業会計原則の一般原則の保守主義の本質とは何ですか?」と問われた際に、答案として「儲かりまっか?」、「ボチボチでんなあ」と書いたら0(ゼロ)点です。

自分が、簿記などの講師を行った際に、こう説明すれば分かりやすかったかな。などと思う反省点などを書き溜めて、分かりやすく、このブログに書いています。

したがって、他のページにも、分かりやすい文章で記載しましたが、答案を書く際には、ブログに書いた分かりやすい表現ではなく、キチンとした会計用語を使用して、答案作成してください。

企業会計原則の一般原則,保守主義の原則を簡潔に説明します。

今日、一般に規定されているもののほとんどが、保守主義に絡んでいます。まず、保守主義の原則の内容を見てから、実例を検証していきます。

保守主義の原則の内容

保守主義の原則の内容は、ある会計処理を行うにあたって、幾通りもの判断ができる場合には、予測される将来の危険に備えて慎重な判断に基づく会計処理を行うことを要請しています。

保守主義とは、真実性の原則との関係

注解4に、保守主義とは、下記のように、真実性の原則との関係が記載されています。

「企業会計は、予測される将来の危険に備えて、慎重な判断に基づく会計処理を行わなければならないが、過度に保守的な会計処理を行うことにより、企業の財政状態及び経営成績の真実な報告をゆがめてはならない。」

保守主義の原則は、一般に公正妥当と認められた会計処理の原則および手続の枠内で適用されている限り、真実性の原則に反するものではないです。

しかし、過度の保守主義は、期間損益計算を不適正にさせる結果となるため、真実性の原則に反し認められません。

企業会計原則の一般原則,保守主義の「適当に健全な会計処理」を簡潔に説明します。

下記の文章が、保守主義のコアになる部分です。すなわち、保守主義の原則は、将来(いつも)適当に健全な会計処理を行っています。その内容が下記の内容です。

「過当に健全な会計処理とは、他の踏原則が守られている枠内で、収益はできるだけ確実なものだけを計上し、費用・損失は細大もらさず計上することによって、利益をできるだけ控えめに計算し、資金の社外流出を防ごうとするものです。」

企業会計原則の一般原則,保守主義の原則の適用例を簡潔に説明します。

武田隆二教授は、下記のように、保守主義の原則の利益と損失について、下記のように記載しています。「保守主義は、一般に、予想の利益は計上してはならず、予想の損失は計上しなければならない、という会計処理に関する要請として表現される。ここでは二つのことが問題となっている。一つは予想の利益(未実現の利益)の計上禁止の要請であり、いま一つは予想の損失の計上義務の要請である。」(最新財務諸表論(第11版)武田隆二著 p127‐p128 中央経済社)

簡単に言うと、収益計上の実現主義や費用の発生主義。この収益計上の実現主義や費用の発生主義は、現在の期間損益計算そのものです。また、費用の増加などがあります。

未実現収益の計上禁止は、「取得原価主義」です。

1.収益計上の実現主義
2.割賦販売の引渡基準に対する回収基準
3.減価償却における定額法に対する定率法
4.引当金の計上金額の見積りなどです。

予想の損失の計上義務の要請とは、引当金の例にあるように、発生主義に基づき、将来に発生する費用又は損失を当期において見積計上することです。

企業会計原則の一般原則,単一性の原則を、簡潔に説明します。

単一性の原則の内容は、「実質一元・形式多元」です。

企業が作る総会用の資料、また税務署に出す資料は目的や用途が異なるので、異なった財務諸表になる場合があります。

しかし、この場合は単一性の原則に沿ったものであるので、問題ありません。

問題があるのが、2重帳簿のように、取引や会計事象そのものを、別々にとらえて会計帳簿を作成することです。

例えば、内部の正しい資料には利益が多く計上され、外部用には利益が少なく計上されるパターンです。

これは、「単一性の原則」に違反するばかりか、「真実性の原則」にも反しているので、認められません。