損益計算書原則。現金主義会計と発生主義会計を簡潔に説明します。

現金主義会計と発生主義会計を簡潔に説明します。

結論は、現在の日本の企業会計原則は、費用は発生主義で、収益は実現主義を採用しています。

大昔には、現金主義という考え方もあったのですが、現代の経済を財務諸表に反映するには、問題点が少なからずありました。

費用は発生主義で、収益は実現主義の、組み合わせは、保守主義の原則からみても、妥当であると考えられます。

現金主義会計と発生主義会計を簡潔に説明します。

現金主義会計とは、現金収支という事実に基づいて収益・費用を認識する損益計算の方式をいいます。

長所
現金主義会計では、現金収支(入出金)という事実に基づいて収益・費用を認識します。そのため、損益の計上を客観的かつ、確実に行うことができ、さらにそこで計算された利益は現金の裏付けがあります。そして、安全な会計の方式ということができます。

短所
現代の企業間の取引は、掛販売等の信用取引が行われていて、現金の入出金の認識時点とはズレがあります。また、企業が行う固定資産などの費用化についても、現金の入出金とはズレがあります。

つまり、現金主義を採用する限りは、企業の業績を適切に示すことができないという短所を露呈しました。

発生主義会計とは、現金収支という事実ではなく、財貨または用役の経済的な価値の増加または減少という事実に基づいて認識する損益計算の方式をいいます。

長所
発生主義会計とは、現金主義の真反対の考え方です。発生した期間に、合理的に収益と費用を計上します。この結果、業績を適正に表示することができ、かつ、適正な損益計算を行うことができます。

短所
発生主義は、現金の収支(入出金)という事実とは無関係に、発生という事実に基づいて、収益・費用を計上しますので、場合によっては未実現収益が計上されてしまいます。
つまり、現金の裏付けがないという短所があります。

現金主義会計と発生主義会計。さらに、これらの折衷案である、企業会計原則の考え方を簡潔に説明します。

現金主義会計は確実だけど、業績を表示しない。発生主義は業績をシッカリ表示するけど、現金の裏付けがない。そこで考えられたのが、現金主義ほど確実ではないけれど、発生主義会計の未実現収益を計上するよりは断然良い。

それならば、原則として、費用は発生主義。収益は実現主義を採用しようという考え方になりました。

上記の説明を簡単に言うと、下記の図のとおりです。現金主義会計や発生主義会計の長所は、少々、目減りしましたが、従来言われていた短所は、費用は発生主義、収益は実現主義を採用することによって、改善しました。

上記に関連する原則は、下記のとおりです。

企業の財政に不利な影響を及ぼす可能性がある場合には、これに備えて適当に健全な会計処理をしなければならない。

収益はできるだけ確実なもの。費用は細大もらさず。利益はできるだけ控えめに計算し、資金の社外流出を防ぐ。

すべての費用及び収益は、その支出及び収入に基づいて計上し、その発生した期間に正しく割当てられるように処理しなければならない。ただし、未実現収益は、原則として、当期の損益計算に計上してはならない。

ただし以降は、未実現収益の計上禁止です。

業績を示す 現金の裏付け、つまり分配可能性
現金主義会計 ×
発生主義会計 ×
費用は発生主義で、収益は実現主義(企業会計原則)