売上高を実現主義で認識。損益計算書原則三B

売上高の一般的な認識原則は、実現主義です。(例外もありますので、記事に記載しました。)

実現を認識する基準には複数あります。ただし、原則的な基準は、販売基準(引渡基準)です。

それは、販売基準(引渡基準)が、実現の基本的要件を満たしていること。販売の事実は確実性を具備していること。この販売の事実によって、収益が客観的かつ明確になるためです。

当サイトでは、今までも収益は実現主義。費用は発生主義であることを記載してきましたが、損益計算書原則三Bでは、下記のとおり記載しています。

売上高は、実現主義の原則に従い、商品等の販売又は役務の給付によって実現したものに限る。

ただし、長期の未完成請負工事等については、合理的に収益を見積もり、これを当期の損益計算に計上することができる。

この規定は、前半を原則規定。後半を実現主義に合致しない規定を表示しています。

売上高を実現主義(原則)で計上。損益計算書原則三B。販売基準

実現主義とは、収益を実現の時点で認識することをいいます。実現の要件としては、次の二つがあります。

「実現主義」は、「販売基準」または「引渡基準」とも言います。

1.財貨又は用役の移転
2.それに対する現金又は現金同等物(手形・売掛金等の貨幣性資産)の取得

1と2は、権利と義務という場合があります。基本的には、1と2は同時に行います。民法で言うところの「同時履行の抗弁権」に似ています。

基本的には、お金の取得と、物品(財貨)の移転は同時です。

例えば、商品を仕入れる際には、売掛金を使います。また、個人では例えば、通販サイトで物品を購入する場合は、クレジットカードを使用して代金を支払います。

お金や現金同等物で物品の代金を支払い。そして同時に、支払った代金と等しい物品を入手します。基本的に、支払った代金と、購入した物品は等しくなります。

このように、売上高は「実現主義」(販売基準)によって認識します。

このほかに、委託販売(例外には仕切精算書到達日基準)(注解6)、試用販売、予約販売、割賦販売などがあります。

委託販売の場合は、受託者が販売した日をもって受託者販売日基準が採用されていますが、例外として(委託者と受託者が遠隔地や受託者の売上高を、直ちに把握できないので)、仕切精算の到達を待って、売上高を計上する仕切精算書到達日基準があります。

ここまでが、売上高=実現主義(原則)です。

ただし、割賦販売は、例外として、現金主義や権利確定主義に重きを置いた、回収期限到来基準や回収基準があります。

売上高を現金主義や権利確定主義(例外)で計上。損益計算書原則三B。

売上高は、実現主義によって認識しますが、現金主義や権利確定主義に重きを置いた、回収期限到来基準や回収基準があります。

回収期限到来基準は、回収の期限が到来したこと、すなわち、権利が確定したので権利確定主義で、売上高を計上します。

また、実際の現金の入金の日をもって、回収基準(現金主義)で売上高を計上します。

イメージ的には、例えば、4月1日に商品(スーツ)を販売日基準で売上高を計上します。

次に第1回目の割賦代金支払い日(入金日)が5月25日です。このが5月25日に売上高を計上するのが、回収期限到来基準です。

また、第1回目のスーツの割賦代金支払い日に、間に合わなかったものの、5月27日に現金で入金されたのが、回収基準(現金主義)です。

売上高を発生主義に重きを置いて工事進行基準(例外)で計上。損益計算書原則三B。

工事契約に係る認識基準には、工事進行基準と工事完成基準があります。

工事進行基準とは、工事契約に関して、工事収益総額、工事原価総額及び決算日における工事進捗度を合理的に見積り、これに応じて当期の工事収益及び工事原価を認識する方法をいいます。

工事完成基準とは、工事契約に関して、工事が完成し、目的物の引渡しを行った時点で、工事収益及び工事原価を認識する方法をいいます。

例えば、工事が大規模で長期間に及ぶ場合は、目的物(橋や駅コンコースなど)の引き渡しは、単年度では済まない場合があります。

こういった場合には、1年1年、工事進捗度を合理的に見積もって、その年度の売上高を計上します。

例えば、横浜駅西口は、一般の人々に分かりやすいように以下の画像の掲示を行なっています。

売上高を工事進行基準で計上する理由。損益計算書原則三B。

契約によって引渡しの相手方および請負金額が確定していることで収益の獲得が保証されていること。要するに、完成や引き渡しまで収益をくりのべる理由がないこと。

工事完成基準は、期間収益が著しく変動し、期間業績判定の観点から問題があること。

この結果、工事完成基準と工事進行基準を選択適用した場合は、財務諸表の比較可能性が損なわれるという問題がありました。